肥後の正調“お屠蘇”酒・・・「赤酒」
昨日までの“温い(ぬるい) 雨”が上がっても・・・例年に比べると暖かな“年の瀬”ですね・・・。今朝も、“冷え込み”とは呼べないような穏やかな天候でしたが・・・明日は、例年並みでしょうか・・・天気予報も“雪マーク”・・・。

肥後の正調“お屠蘇”酒・・・「赤酒」_c0001578_259217.jpg昨夜、帰り着くなり女房殿が・・・「ご近所の○○さんが作ったからって、ほらっ、これ戴いた・・・」と・・・小皿に取り分けた“田つくり(ごまめ)”を見せてくれました・・・。

“年の瀬”を段取り好く“正月”に備えるご近所の方らしい・・・お心遣い・・・。
ありがたく“晩酌のアテ”にしようと思ったのですが・・・それならば!と思って“お屠蘇”酒を一足早く試飲することにしました・・・肥後(熊本)の正調“お屠蘇”酒アルコール度数12°の「赤酒(あかざけ)」・・・。

「赤酒」・・・大分では食料品売り場の“調味料酒”のコーナーで見かけますが・・・実は、歴(れっき)とした古代酒“灰持酒(あくもちしゅ)”の正統派を受け継ぐ・・・熊本の“御国酒=伝統酒”で・・・正月の“お屠蘇”となる“祝酒”でもあると・・・。

熊本式 “お屠蘇”とは・・・この「赤酒」に“屠蘇散”と呼ばれる“生薬”・・・肉桂(にっけい)、防風(ぼうふう)、蜀椒(しょくしょ) 、桔梗(ききょう)、白朮(びゃくじゅつ)、陳皮(ちんぴ) ・・・を前日(大晦日)浸しておくのだそうです・・・。

ということで・・・この時節は、このように“屠蘇散”袋も同梱されている山鹿市の千代の園酒造『極上 赤酒』で・・・熊本式 “お屠蘇”を模擬体験・・・昨夜、浸けておいた“屠蘇散”袋を取り出し・・・グラスに注いで、もちろん“生”のまま一杯・・・(本来は“お屠蘇”ですから、こんな風には飲まないのでしょうが・・・笑)。

ほう、ほう・・・注いだ時に感じる“トロみ”のある淡黄褐色の酒液・・・フム、フム・・・“生薬”由来の香りは、仄かながら複雑です・・・。

クイッと飲めば・・・全体を覆うようなマッタリと滑らかな甘味の舌触りが主体となって・・・続いて“アルカリ”っぽい苦辛さに・・・“生薬”の“肉桂(ニッキ)”風味が重なって鼻腔に抜けてゆく後味 ・・・例えれば、本醸造の“味醂”の尖った感じが取り除かれた円やかな“漢方酒”とでも謂えばイメージがお分かりいただけるかと・・・。

なるほど・・・古式ゆかしき由緒ある“お屠蘇”の本義・・・“鬼神・邪気”を祓い一年の“無病息災”、“一家長寿”を願う薬酒・・・これまで、“お屠蘇”も“般若湯”もなんら変わらぬ“清酒”だと思い込んでいた無教養に簡略化した“正月儀礼”を見直さなくてはと・・・急に“畏(かしこ)” まるオヤジでありました・・・(笑)。

ご近所から戴いたこの“田つくり(ごまめ)”も美味しく・・・“年の瀬”に“お節”気分の試飲晩酌でした・・・。




肥後の正調“お屠蘇”酒・・・「赤酒」_c0001578_31993.jpg“屠蘇散”・・・またの名を“屠蘇延命散”と名付けられた配合“生薬”・・・“ポチ袋”のような紙包みから取り出すと・・・三角形のティーパックのような袋に入っていて・・・それを瓶の口から浸けておくと・・・“生薬”エキスがアルコール抽出され・・・「赤酒」に独特の香味と風味をもたらします・・・。

他の地方では・・・清酒やみりんで同様に“お屠蘇”にするんですね・・・。


肥後の正調“お屠蘇”酒・・・「赤酒」_c0001578_312182.jpg“田つくり(ごまめ)”・・・イリコと小エビの香ばしさに絡む“胡麻”と“山椒”の風味の効いた煎り煮加減・・・この肥後の正調“お屠蘇”にぴったり合っていて・・・実に、美味しく戴きました・・・。


肥後の正調“お屠蘇”酒・・・「赤酒」_c0001578_313069.jpgこの「赤酒」も・・・現在、熊本県内で二軒のみの醸造・・・この千代の園酒造瑞鷹(ずいよう)東肥 赤酒」だけになっているとのこと・・・。

古式ゆかしい“慣習儀礼”に残る地域の酒文化・・・

お屠蘇”は・・・肥後「赤酒」、薩摩「地酒(じしゅ) 」・・・

“ひな祭り”は・・・豊前中津と豊後竹田の「白酒」、筑前博多「練酒(ねりざけ)」・・・

再度、この機に見直されてほしいですね・・・。

出来れば・・・豊後「麻地酒(あさじざけ)」の復活も・・・多様な酒文化につながるのではと・・・この酒を飲みながら想う“年の瀬”・・・であります・・・。
by project-beppin | 2006-12-27 23:59 | 異郷酒晩酌伝
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