懐古録・・・「壽」のラベル
蔵も廃業し、絶版となってしまった・・・正調粕取焼酎『
清酒「豊の誉」を醸していた中島酒造場・・・清酒蔵だからこそ醸せる“焼酎”です。
その“焼酎の味わい”とともに・・・“銘柄ラベルの味わい”を記憶にとどめておきましょう・・・。

懐古録・・・「壽」のラベル_c0001578_22545773.jpg 懐古録・・・「壽」のラベル_c0001578_22552430.jpg 懐古録・・・「壽」のラベル_c0001578_22554661.jpg
私は・・・ロイヤルブルーと金と白を基調色としたこのラベルデザインに惚れています。

丸く抜かれた中央部に・・・“ひげ文字”の旧書体の「壽」・・・白地に抜ける黒い文字の大きさといい、片仮名の「コトブキ」といい・・・フォントバランスが優れています。
その円周を金の帯が取り囲み・・・赤ではなく“朱”のローマ字標記が鮮明に視覚的インパクトを持っています・・・。
そして・・・中央部の左右を飾る薄灰色の帯・・・よく見ると、江戸小紋の柄にあるような図案化された・・・“松竹梅”の吉祥紋。昔ながらの左から読む朱色のサブコピーは・・・左右で「風味絶佳」・・・つまり「譬えるものがないほど佳い風味」という意・・・。

なんといっても・・・ラベル全体に重厚感と品格を持たせる役目を果たすのが・・・この深いロイヤルブルーです。
上部に・・・堂々とした「粕取 焼酎」の白抜きの配置・・・下部に所在地と蔵元名の標記・・・。
そして・・・これら絶妙な配色構成とフォントバランスをキッチリと引き締めるのが・・・周りを囲む金色の細い縁どり・・・。

この焼酎のもつ味わいのイメージを託した・・・バーコードの印刷表示もない銘柄ラベル・・・。
誰がこのラベルの意匠を創作し採用したのか?・・・今となっては知る由もありません・・・。
しかし、私には・・・豊後の焼酎文化の優れたラベルデザインであり・・・“想いを託す創造力”が朽ちようとしている今では・・・ポストモダンにさえ思えるのです・・・。

懐古録・・・「壽」のラベル_c0001578_22542030.jpg酒造組合の表示レッテルも「乙類 酒粕取」・・・正々堂々と・・・貼り付いています。

懐古録・・・「壽」のラベル_c0001578_2256274.jpg 出荷時に貼ったと思われる裏ラベル・・・社名を「豊の誉酒造本店」に変更していたんですね・・・「長期貯蔵」の標記に蔵元の想いがあります。

今日は・・・“銘柄ラベルを味わう”・・・でした・・・。
by project-beppin | 2005-05-19 23:04 | 焼酎文化考
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