別府“コップ酒”の原風景・・・「九丁目の八ちょう目」
昨日は・・・仕事の会合・・・関係者と別府の色街で・・・2次会まで・・・。“喋り疲れ”ているはずが・・・“しんみりと飲みたい”気分・・・まっすぐ帰らず・・・“赤提灯”の暖簾をくぐります・・・。

別府“コップ酒”の原風景・・・「九丁目の八ちょう目」_c0001578_13584547.jpg久しぶりに・・・“ひとり酒”・・・帰趨する如く、くぐる暖簾は・・・私の“酒場の原風景”・・・「九丁目の八丁目」・・・。

その昔・・・まだ、ビールジョッキでガツガツ喰らう飲み方をしていた若い頃・・・カウンターの向こう側で・・・焼鳥を焼く“既に赤ら顔”のオヤジさんと・・・“おでん”のアクを丁寧に掬う白い割烹着姿のオフクロさん・・・。

細いカウンターの端席には・・・現場仕事を終えた作業着姿のオイさんの“コップ酒”・・・清酒と思いきや・・・“燗つけ焼酎”・・・。
そんな別府の“赤提灯”の光景を・・・焼き付けられたのが・・・この店でした・・・。

あれから・・・往く年月十数年・・・ずっと変わらぬ薄汚れた店内とこの“おでん大鍋”・・・今は、二代目が守る“ツユ”の味わい・・・。

私も・・・あの時のオイさんと同じ“ひとり酒”・・・“おでん”と“燗つけ焼酎”で・・・酔いたい年になりました・・・(笑)。
さぁて・・・定番の“おでん”と“とりもつ”で・・・ゆっくり“コップ酒”を・・・飲みましょうかぁ・・・。




別府“コップ酒”の原風景・・・「九丁目の八ちょう目」_c0001578_1401887.jpg先ずは・・・“おでん”と“燗つけ焼酎”・・・。

もちろん・・・焼酎は「二階堂」20°を・・・熱めの“ぬる燗”で・・・。
アルミタンポから・・・コップの“表面張力”を見極めて・・・口を近づけて啜る・・・旨い!・・・この柔らかな甘味は・・・20°の直燗のみに許された味わいに思えるんです・・・。
“ツン”と喉に刺さない“燗加減”・・・甘辛淡麗・・・姿が崩れず、口中で円さを増すところが・・・この焼酎の“底力”・・・。

同じ20°でも・・・芋では、こうはいきません・・・私には、直燗で甘みが発ち過ぎる感じがしますから・・・。

“おでん”は・・・基本の“蒟蒻”、“大根”、“スジ”・・・皿尻に練りカラシをさっとなすって・・・ツユとともに出てきます・・・。
蒟蒻・・・“隠し包丁”にツユが滲みて・・・薄味ながら、丁度いい味わい・・・。
大根・・・丸のまんまで滲み入ったツユが濃くなった感じ・・・しっかりした旨みが宿っています・・・。
スジ・・・柔らかくホロッととろける部分と・・・クニャッと歯応えの部分を交互に味わえる匠の味・・・。
焼酎を飲み終わる前に・・・皿に残るツユを啜る・・・これが何にも変えがたい味わい・・・。

その昔・・・先代のオヤジに・・・「オヤジ!(おでん)ツユだけ、くりぃ~!(くれよ!の意)・・・」と悪たれつきながら皿を出す客・・・
「なん言いよんのかぁ!(ナニ言ってるんだ!の意)・・・ヨイ!・・・こんツユが一番高けぇんじゃ!・・・やれん!(やらない!の意)」と怒鳴り返すオヤジさん・・・。横にいたオフクロさんは・・・黙って皿を取り、ツユをよそう・・・そんな光景を思い出しました・・・。


別府“コップ酒”の原風景・・・「九丁目の八ちょう目」_c0001578_1403897.jpg続いて・・・“とりもつ”と清酒の“ぬる燗”・・・。
清酒も・・・もちろん「西の関 上撰」・・・ぬるめの“ぬる燗”・・・。
ちょこっと口をつけて・・・すっきりコクのある甘口・・・ほろりと香る醸し風味はキッチリしています・・・。

“とりもつ”・・・茹でた鶏の肝を刻み・・・小葱と一味唐辛子にポン酢醤油をかけ・・・この侘びた肝の滋味をアテに・・・飲むのが一興・・・。


別府“コップ酒”の原風景・・・「九丁目の八ちょう目」_c0001578_1411749.jpg一緒に頼んだ“トマト”も出てきて・・・小洒落た“ハーブソルト”なるものを奨められ・・・少しかけて・・・あとは、味しおをパッパッパと・・・。冷えたトマトの旨さも・・・好いもんです・・・。


別府“コップ酒”の原風景・・・「九丁目の八ちょう目」_c0001578_14194927.jpg
この店の酒・・・
定番焼酎は・・・麦「二階堂」、芋「黒霧島」、米「白岳」、蕎麦「雲海」、甲類「三楽」・・・全て20°・・・。


別府“コップ酒”の原風景・・・「九丁目の八ちょう目」_c0001578_143156.jpg清酒は・・・4銘柄・・・「雪下香梅」、「郷越後」、「千福」、「西の関」
おぉ偶然・・・「郷越後」・・・あの「山古志」の本銘柄があるではないですか・・・。
あと・・・麦ウィスキータイプ「田苑ゴールド」、黒糖「喜界島」・・・芋「赤霧島」も・・・。その奥には・・・オフクロさんが漬けた「梅酒」・・・。


“コップ酒”の名店・・・「九丁目の八丁目」・・・嗚呼!素晴しきかな・・・。

■おでんほか:九丁目の八ちょう目/別府市光町
by project-beppin | 2005-11-19 14:10 | 焼酎文化考
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