「大福」焼酎考・・・全ては、この“看板”から始まった
日曜日(9日)、私はというと・・・“ちょっと気になること”があって・・・由布市庄内町(旧大分郡)へ・・・。

c0001578_1365743.jpg“ちょっと気になること”とは・・・この“看板”・・・。

実は、昨年の12月・・・あの大雪時に大分市からR210号線を湯布院へと向かう途中・・・旧庄内町下宮武から旧湯布院町下湯平へと向うあたりの左側・・・ふと目に留まった道端“看板”がありました・・・。何度も通ったことのあるこの道で・・・この“看板”に気づいたのは・・・この時がはじめて・・・。

そう・・・気になりだした時には“フィールド調査”・・・“現場”に戻ることからはじめます・・・(笑)。

“現場”でよく見ると・・・幅1m、高さ2.5mはあろうかというこの白地の看板に・・・赤い隅丸の囲みの中に・・・大きく青い髭文字の“大福”と黒い丸ゴシックの“焼酎”と書かれていて・・・その下に主要地までの距離表示・・・。古くからあるようで・・・ペンキも剥がれかけています・・・。
この写真は・・・湯布院方面側から大分方面に向う側を撮影していますから・・・“大分まで23Km”とあります・・・(裏側は“湯布院まで17Km”と表示)。

『大福』焼酎?・・・少なくとも、私は・・・これまでに聞いたことも見たこともない銘柄・・・。

はてさて?・・・私の推測では・・・“幻の正調粕取焼酎”か?・・・麦焼酎の“旧銘柄”か?と・・・想像していたのですが・・・。

何んと!!!・・・今も現役の定番“焼酎”であることに・・・驚かされたのです・・・。



c0001578_1455796.jpgこの日は・・・“キキコミ”捜査です・・・。もう、この時点で・・・私の中では“太陽に吠えろ!”のテーマソングが鳴っています・・・(笑)。

大分方面へ車を“Uターン”・・・この看板から一番近い酒販店に入って・・・早速“キキコミ”を開始・・・。

私・・・「“大福”って看板がそこにあったけど、今でも売っちょん~?(売ってるの?・・・の意)」
店主・・・「“大福”なら、あぁ、ありますよ・・・これやな・・・」

店主に導かれて・・・すぐさま商品棚に一升瓶を発見!
銘柄ラベルには『ほまれ大福』とあります・・・。そして・・・おぉ~、な、な、なんと!!!・・・“焼酎 甲類 20°”・・・。早くも・・・私の勝手な想像である“幻の粕取焼酎”発見の期待は・・・打ち砕かれたのです・・・(笑)。

手にとって・・・レジカウンターで支払いをしながら・・・

私・・・「これ“甲類”なんやなぁ~・・・。別府では見んわぁ~、珍しいっちゃ・・・」
店主・・・「そうなぁ?・・・昔の大分酒造さんの(甲類)で、今は江井ヶ嶋さんやけどなぁ~・・・この辺では昔っから、これですわ・・・。」
私・・・「そぉぅ・・・甲類やったら、“三楽”が強いけどなぁ~・・・」
店主・・・「“三楽”は大手で、今は多いけど・・・昔は、皆、こればっかりやった。今は、昔ほどは出んけどなぁ~(売れないけど・・・の意)・・・。」
私・・・「ほぉ~・・・大分に“甲類”の地モノがあるとは・・・知らんやったぁ~・・・。今でも、あるんやぁ~・・・。」
店主・・・「あぁ、いくらでも・・・そりゃ、10本でも20本でもすぐ手に入る・・・。」(笑)
私・・・「そう・・・んじゃ、飲んでみよう・・・。ありがとう・・・。」
店主・・・「はい、またどうぞ・・・いつでも、売ってますよ・・・。」(笑)

と・・・店をあとにしました・・・。

c0001578_1372554.jpgその後に・・・近くのスーパーへ寄ってみると・・・酒販コーナーで、一升瓶三列で棚を占有する『ほまれ大福』の勇姿・・・正に感動に値する光景です・・・。
あの大分県中央部を席巻する“甲類の覇王”たる「三楽」と肩を並べる棚の占有率・・・マジマジと“現役”であることを再確認できました・・・。

ここ大分県下は・・・戦後昭和の中では“甲類の牙城”とされ・・・日豊線沿線の宇佐や別府では「三楽」(メルシャン)・・・国東半島では「ダイヤ」(旧協和発酵)や「ダルマ」(中国醸造)・・・久大線沿線では「千石」(福徳長酒類)・・・県南の佐伯は「寶星」(本坊酒造)など・・・昔の酒販問屋の影響による“甲類植民地”となっていたと聞いたのですが・・・その中にあって、ここ庄内町周辺は・・・この旧大分酒造(現在は江井ヶ嶋酒造 大分醸造所)の銘柄『ほまれ大福』が・・・ちゃんと“原味覚”として受け継がれている地域だったんです・・・。

『大福』焼酎・・・銘柄名“ほまれ大福”、“焼酎 甲類”、度数“20°”、製造“江井ヶ嶋酒造”・・・。

この看板から始まって・・・今回の“フィールド調査”によってわかったことは・・・大分の焼酎文化の中に“地の甲類銘柄”あって・・・この地銘柄名のまま現存し・・・こうして、今でも普通の暮らしの中で息づいているということ・・・。

甲類であるとか乙類であるとかの次元ではなく・・・“地霊”が宿る“もうひとつの焼酎”の風土を垣間見ることが出来ました・・・。
by project-beppin | 2006-04-13 01:39 | 焼酎文化考
<< 甲類を楽しむ(その1)・・・鰆... 桜の山麓・・・鶴見岳公園さくらまつり >>